田中良幸税理士事務所 トピックス
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税務関係

平成21年度税制改正大綱(事業承継税制)

昨夜、自由民主党から税制改正大綱が出ました。

 ◆平成21年度税制改正大綱
 http://www.jimin.jp/jimin/seisaku/2008/pdf/seisaku-032a.pdf

全部で70ページです。ページ数だけでいうと、例年並みといったところでしょうか。

 平成16年度  03.12.17  53ページ
 平成17年度  04.12.15  53ページ
 平成18年度  05.12.15  70ページ
 平成19年度  06.12.14  66ページ
 平成20年度  07.12.13  77ページ
 平成21年度  08.12.12  70ページ

早速、私が最も注目している事業承継関係をみてみましょう。

相続税および贈与税の納税猶予制度は、予定どおり実施されます。

しかし、これとセットで「検討する」とされていた遺産取得者課税制度については、再び「検討する」となりました。つまり、先送りです。

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第一 平成21年度改正の基本的考え方

5 相続税制

 相続税については、法定相続分を勘案して税額を計算する現行の方式には、財産取得者の税負担に係る水平的な公平性に問題があること、ある相続人の申告漏れが他の相続人にも影響を及ぼすこと、現行の事業等の継続に配慮した特例措置による税負担の軽減の効果が事業等の継続と無関係な相続人に及ぶことなどの課題があるため、新たな事業承継税制の導入にあわせて、各人の取得分に応じ個別に税額を計算する方式に改めることにつき検討を行ってきた。しかし、相続税の税額計算についての現行の方式は、約50年の長きにわたり定着してきた制度であり、その見直しは、課税の公平性や相続のあり方に関する国民の考え方とも関連する重要な問題であり、さらに議論を深める必要があると考える。

 格差の固定化防止、老後扶養の社会化の進展への対処等の観点からの負担水準の適正化についても検討を行ってきたが、税額計算方式のあり方とともに、さらに検討を進め、税制抜本改革の際に実現を図るものとする。

第二 税制抜本改革の全体像

5 資産課税については、格差の固定化防止、老後扶養の社会化の進展への対処等の観点から、相続税の課税ベースや税率構造等を見直し、負担の適正化を検討する。

第三 平成21年度税制改正の具体的内容

六 相続税制

1 取引相場のない株式等に係る相続税の納税猶予制度等の創設

(1)取引相場のない株式等に係る相続税の納税猶予制度の創設

 経営承継人が、非上場会社を経営していた被相続人から相続等によりその会社の株式等を取得し、その会社を経営していく場合には、その経営承継相続人が納付すべき相続税額のうち、相続等により取得した議決権株式等(相続開始前から既に保有していた議決権株式等を含めて、その会社の発行済議決権株式等の総数等の3分の2に達するまでの部分に限る。)に係る課税価格の80%に対応する相続税の納税を猶予することとする。

(注)「経営承継相続人」とは、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律の規定に基づき経済産業大臣の認定を受けた一定の非上場会社の後継者をいう。

(2)取引相場のない株式等に係る贈与税の納税猶予制度の創設

① 後継者が、経済産業大臣の認定を受ける非上場会仕を経営していた親族から、贈与によりその保有株式等の全部(贈与前から既に後継者が保有していたものを含めて、発行済議決権株式等の総数等の3分の2に達するまでの部分に限る。以下「猶予対象株式等」という。)を取得し、その会社を経営していく場合には、その猶予対象株式等の贈与に係る贈与税の全額の納税を猶予することとする。

② 贈与者の死亡時には、猶予対象株式等を相続により取得したものとみなして、贈与時の時価により他の相続財産と合算して相続税額を計算する。その際、経済産業大臣の確認を受けた場合には、相続税の納税猶予を適用する。

 
2008年12月13日 <4:40 >  田中良幸
 
 
 
 
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田中良幸著書 税理士のための相続をめぐる民法と税法の理解 民法<相続編>を逐条的に事例解説
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めぐる民法と税法の理解
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